タブーなき世界、、、それは
アブラクサスさんで、ヘレン・ケラーとサリバン先生の舞台は、今回で2回目の出演となりました。
前回は、ヘレンの母親ケイト。実際の人物でしたが一部脚色され、最終的にはあたしの演じるケイトは史実とは違っていたかもしれませんでした。即興で役を作る、そんなやり方のアブラクサスさんでの即興を経てのケイトの役でした。
今回はケラー家の黒人の使用人でヘレンの乳母、ヴィニー。完全なオリジナルの役です。
アメリカの黒人奴隷問題、人種差別については、3作続けて取り組むことになり、ヘレン役の羽杏さん以外の出演者にとっては一番の難題だったと思います。現代の日本人として、差別はいけないと教育されてきているからです。
ヴィニーの生きた時代も公民権運動がまだ大きく動き出す前で、黒人への扱いは人間以下、それでもケラー家で、それもヘレンの乳母として働けたことは誇りでもありました。そして誰よりもヘレンの事をわかっていると自負していました。気持ちが通じないもどかしさから乱暴になるけれど、心優しいヘレンを知っているヴィニーは彼女を誰よりも大好きでした。
そして、黒人である自分を人間扱いして、大変な思いをして習得した発声で、家族と一緒に名前を呼ばれた時、どれだけ感謝したことか。いつまでもそばで仕えていたかったのです。でもそれはできませんでした。
時代の流れの中で、弟サムと共に夢を求めて北部に移るのですが、結局そこでも過酷な労働と白人からの迫害からは逃れられませんでした。
弟サムは、黒人集会に参加して、白人の女性と食事をすると言って出かけて、リンチにあい殺されます。それが当たり前のように許されていたのです。白人に刃向かう方が間違っている、そう言い聞かせて息を潜めて生きていくしかないのでした。
心身共にボロボロになり、最期にヘレンに会いたいとヴィニーは思いました。どうせ死ぬのならと、無謀に白人のいる場所でも行ってしまいます。
そして、ヘレンは快く迎え入れてくれました。最後にもう一度この人のそばで働きたい、そう思うのですが、ヘレンは黒人集会に一緒に行こうと言います。
ヘレンは目が見えないからこそ、外見で判断することはありません。だから黒人も白人も、ましてや障害者も関係ありません。むしろ障害があるというだけで許されないことがたくさんあります。彼女は闘います、真の平等を求めて、そしてヴィニーの心も動かされます。
台本上には書かれていませんが、晩年のヴィニーは幸せだったと思います。ヘレンとサリバンと共に過ごせて、きっと得意のクッキーを焼き続けたのだと思います。
ヴィニーの想い、観た方々に届いていれば良いなと思います。
今回の役作りで一番参考にしたのは、『大統領の執事の涙』でました。大好きな作品でもあります。
この作品について書くと長くなってしまいます。興味のある方は是非見てみてください。
長くなりましたが、最後に
今回もヴィニーという役、彼女が大好きでました、黒人特有の明るさがあり、ひたむきで、そして心優しい人、、再び皆様の前に現れることがあるかどうかはわかりませんが、役者星野クニは、これからも皆さまに様々な役で現れることはお約束いたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました😊
0コメント