樹木希林さん
役者として、誰が目標か?
よくされる質問ですが、一度も迷った事なく答えていました。「樹木希林さんです!」
それに対して多くの方が納得してくださいました。
希林さんが、30代でお婆ちゃんを演じ、あたしは初舞台が高校1年生でお婆ちゃん役でした。勝手ながら若くして老け役をやる共通点に喜び、以前の芸名悠木千帆さんも、あたしが高校生の時に小説を書いていたペンネームが悠希ひろ、と名前が似ているとこれまた勝手に喜んでいました。
女優、女が優れていると書く、あたしは容姿的にその呼び方に抵抗を感じていました。
主役ではなく、味があり存在感のある脇役を続けていたいと、それが目標でした。
樹木希林さんは、正にその通りの方でした。
作品の中でちゃんと存在していて、でも出しゃばらないのに、心惹かれるんです。
忘れられないのが、『悪人』の主人公の祖母役です。妻夫木聡さん演じる孫が殺人事件を起こして、記者に取り囲まれた時の演技、戸惑いとうろたえ、大袈裟でないその演技に、様々な心の動きが見えました。
これほど自然体で演技ができる。凄い!
そして、こうありたい!と思い続けてきました。
ずっと先の目標として、いつか何処かでお会いする機会か、共演できたらと心密かに思ってもいましたが、いつか、なんてないんです!
希林さんの死は、自分の役者としての在り方への悔しさで悲しくてなりませんでした。
目標を、ただ羨望の存在としてしまっていたあたしでした。
「希林さんに似てますね」そう言われて喜んでいるのではなくて、そんな風に目標にされる存在にならなくてはいけない。
目標と、夢は違うのだから!
涙を流している場合じゃありません。
あたしは、前へ進みます!
樹木希林さんという大女優さんと同じ時代を生きれた幸せを、更に大きな目標として。
感謝と、そして心からご冥福をお祈りします。
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