動物との会話


 子供の頃、ドリトル先生のお話が大好きだった。動物と会話ができる獣医のドリトル先生。
 私も動物と話がしたい!獣医さんにもなりたい!
 獣医さんは、理系が苦手なのと勉強のために動物たちの命を奪う(提供してもらう、なのか?)ことの現実に自分が直面することが不可能だと思い諦めた。

 人間同士が言葉を交わして会話をするのと同じ様には、実際にはできないけれど、変人のあたしはよく野生の鳥、烏や鳩に話しかけることがある。
 こちらの話しかけに対して、実際にどう思っているのかはわからないけれど、その時の仕草や表情(勝手にそう見えてるだけかもしれないが)で、何となく心が通わされている気になっている。
 お家で一緒に暮らしているワンちゃんネコちゃんたちがいれば、その子たちとのコミュニケーションで分かり合えてるのと同じ感覚。

 最近、舞台の稽古場近くの公園でお昼を食べながら台本を読んでいると、鳩が近づいてくる。何か貰えると思って近づいてくるのだが、最近は野生動物を餌付けしないでください!と怒られたりするから、知らん顔しているが、全く警戒心のない鳩は近づいてきてじっと私の顔を見つめる。
「何かくれ!」
そう訴えてくるので
「何も上げれるものはない!」
と、キッパリと声に出して伝える。(かなり小さな声で)
 私が話しかけると、目をくりくりさせて更にあたしを見つめる、訴えかけてくる!
 返す言葉は同じ。
 さすがにその場を去るあたしに付いては来ないが。
 別の日、辺りを見渡すと鳩の姿はなかったのだが、同じようにベンチに座っておにぎり🍙を食べていると、どこからともなく鳩がやってきて、再び訴えてくる。
「何かくれ!」
 あまりに訴えてくるものだから、ほんの少しだけ、そうほんのひとつまみ程度?を地面に落とすと、すぐさま食らいついてきた。
 その間におにぎりは全部食べてしまっていたものだから、もう何も上げるものはないのだが、あたしのこの行動が、鳩の警戒心を完全に無くさせた。
 こんなにも図々しい距離まで近づいてくるのかとやってきたので
「世の中にはね、悪い人もいるんだからね、こんなにも近づいて野生を忘れてしまってはダメだよ!」
と、一応説教しておいたが、これには無関心を示されてしまった。

 昔、早朝のゴミを漁るカラスに
「そんなことをするから人間に嫌われるんだよ、やめなさい!」
と語りかけると、本当に不思議そうな顔をしてあたしをじっと見つめていた。
 それでやめればいいのだが、一切ゴミ漁りをやめる様子はなかった。

 更に昔、公園にいたカラスの頭がモヒカンの様で格好良かったので
「かっこいいね」
と、褒めると
頭を小刻みに動かしながら照れ臭そうにしていた(私にはそう見えた)。

 その気になれば、野生動物とも心を通わすことが出来る。
 そしていつか本当に会話ができたらいいなと、今でも思っている。

Kuni Hoshino

Åctress フリーの役者です。 広島県出身!過去の出演は舞台が中心でしたが、これからは様々な分野にチャレンジします! 幾つになっても勉強!

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